イントラプレナーを受け入れる側も
変わればイノベーションは加速する

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主に伝統的な金融サービスを通して大企業の成長を支援してきた野村グループが、イノベーション創出の面でも新たな価値をもたらしている。シリコンバレーの著名研究機関で学びと交流の場を提供しているのだ。現時点での成果と今後を語ってもらった。

3年目を迎えた野村SRIイノベーション・センター(NSIC)がプログラムの拡充を図っている。NSICは、日本企業のイノベーション促進のため、野村ホールディングスと米SRIが提携して設立した「シリコンバレーとの架け橋」だ。世界最大規模の独立非営利研究機関であるSRIは、政府機関や産業界と科学技術分野をつなぎ、80年の歴史の中で様々なイノベーションとアイデアの商業化に貢献。2023年にはパロアルト研究所(PARC)を統合し、さらに勢いづく。シリコンバレーの中心に広大なSRIメンローパークキャンパスを構え、NSICが位置するのもその一角だ。これまでNSICのイノベーション・プログラムに社員を派遣した日本の大企業は延べ29社に上り、野村證券の武村努氏はこう語る。

「最大のメリットは、SRI内に腰を据え、AI、サステナビリティー、人間と機械のコラボレーション、量子など多様な専門領域のSRI研究者たちと直接、刺激的なディスカッションができることです。1年間のプログラムを終えて帰国した社員の劇的な成長に驚く企業の方々も大勢います」

イノベーティブマインドを育む環境下では、様々な「掛け合わせ」が化学反応を生む。プログラム参加者がNSICで立案した新規事業計画について、日本の本社から予算を取り付け、SRIと連携してPoCに進んだケースもあるという。

「プログラム参加者の専門分野は多岐にわたりますが、SRIを運営主体とするNSICにはそれを受け入れる懐の広さがあります。また参加者同士の間にも、そこでしか始まらない交流が生まれています」

より利用しやすい短期の
プログラムも新たに用意

 ただ、人材を送り込み成長を促しさえすればすぐに社内のイノベーションにつながるわけではないと武村氏は指摘する。

 「重要なのは、成長し戻ってきたイントラプレナー(社内起業家)になりうる人材を受け入れる側のマインドセットです。エグゼクティブの方々をはじめ、受け入れる側も変化することで、イノベーションは加速度的に進みます」

そのためには、受け入れる側もシリコンバレーを訪れるといい。NSICはプログラム参加者とは別に、イノベーションの機会を模索する日本企業約800社、2500人もの見学者を受け入れてきた。最近では、イノベーションに必要なスキルやマインドセットを効果的に身につける短期プログラムも拡大してきている。

「シリコンバレーのイノベーションを実体験し、イントラプレナーを育成するとともに、社内に蓄積されてきた人材・知財などの宝物にSRIのような社外の刺激を掛け合わせ、新しい価値を生み出していただきたい。これが、企業のみならず日本の社会全体を活気づける最善の策ではないでしょうか」

野村SRIイノベーションセンター(NSIC) 詳しくはこちら

 

日経ビジネス2024年8月26日号に広告掲載

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