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開催日時 2019/11/15 14:00スタート。
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2019年11月15日(金)、3×3 Lab Futureで「人材流動化ワーキングキックオフイベント」が開催されました。
今回はTMIP会員のメンバーが集まり、イノベーション創出につながる人材流動についてディスカッションをすることがテーマ。早稲田大学の入山 章栄教授を案内役に、参加者は数名ずつのグループに別れて様々なアイデアを出し合いました。
開会にあたり、入山教授がイノベーションにおける人材流動化の重要性を説明しました。
入山氏:今新しいことをやるには新しいアイデアや知見を生み出す必要があるが、ゼロからは生み出せない。既存の知と既存の知の組み合わせによって、1と1を掛け合わせて2や3にしていく。でも人はどうしても目の前だけを見てしまう傾向がある。特に大企業は新卒一括採用終身雇用でずっと同じ会社で同じ業務を抱え込んで同じ人たちに囲まれている。目の前の知と知の組み合わせはやり尽くしており、そこから新しいものは絶対に出てこない。そこで組織を横断して動くことが重要だが、日本では組織の壁があって動きづらい。それが研究を通じて見えてきた、問題のほぼ本質。しかし、もう研究している場合じゃないという話にもなっていて、ではやってしまおう、と。そこでTMIPを運営母体に、大丸有を中心にいろんな企業の方に集まってもらい、いろんな人を巻き込んで動かす仕掛けを考え、アクションにまでつなげて行きたいというのが人材流動化ワーキング、である。
続いて、入山教授とともにイノベーションと人材流動化を研究をしてきたデロイトトーマツコンサルティング合同会社 小野 隆氏が登壇、次のように説明しました。
「実証実験で気づいたことは、違う出身で違う経験をされてきた方がオフラインで集まって意見交換やディスカッションすることに非常に価値があり、これ自体が人材流動化の礎になるだろうということ。人材流動や他の団体への出向を実現するにはオンラインでシステムを作ってマッチングというものを考えがちだが、おそらくそうではなく、実際に対面でお話をすることが大事と感じている。その際に重要となるのが、間に入るコーディネーター。人材流動化はいろいろなレベルがあり、意識や課題が人によって全然違う。コーディネーターが入ることで、問題意識の持ち方やビジネスの健全性が担保される。今日も各グループに一人ずつコーディネーターの方に入ってもらっている。
ここからは人材流動を事業として行なっている企業の方々が登壇。その方法や効果について語っていただきました。まずは、ローンディールの原田 未来氏が登壇。
原田氏:人材流動、越境学習のポイントは、知の探索をして帰ってきてもらうこと。それも「ベンチャーはスピード感が違う」といった感覚的なことで終わらせるのではなく、きちんと言語化して自社に持ち帰って活かすことが大事。彼らはスタートアップの熱量とスピード感も、大企業の経営責任へのアクセスも理解できる、非常に稀有な存在にもなり、人や組織も可能性を広げていけると考えている。
二枚目の名刺の廣 優樹氏は兼業や副業について解説しました。
廣氏:二枚目の名刺という社名には兼業や副業などいろいろな意味が込められているが、僕らはこれを組織や立場を超えて社会に向くということと定義している。自分の価値観を表現する手段、成長や機会を選択するために副業や兼業をする。その際に全然違う価値観を持つ人たちと仕事をすることで価値観を揺さぶられる。これがイノベーションの源泉となる。こうした人が会社に戻り、会社も彼らが持ち帰ったものを飲み込むことができるのが越境の一つの真骨頂となる。
コニカミノルタの福島 健氏も、実証実験で見えた人材流動の重要性を強調しました。
福島氏:私たちは実際に課題や知見を持った人たちといかに繋がれるかがポイントと考えており、それを実現するためのプラットフォームとして地方の自治体と大企業をつなぐ実証実験を行っている。実際に広島を訪問して、現地の課題と我々のナレッジを重ねてトライアルをしたところ、想像していなかった本質的な課題が見えてきて、知と知の結合、人と人の交流、現場に行くことの大切さを実感した。
続いては、人材流動化の課題や方法について、数名ずつに別れてのグループワークの時間。それぞれ初対面同士とは思えないほど活発なやりとりが行われました。
40分ほど経ったところで入山教授がマイクを手に各グループからアイデアを発表の時間が設けられました。
「交流の場として持ち回りで各社の社食に集まってみる」「降りる駅がそれぞれ決まっている電車の中で、乗り合わせた人同士でミーティングを開く」「大丸有エリアは平日と休日でいる人が違うので、その両者が交流できるよう、休日を変更してみたりしてはどうだろう」といった意見や、「社会課題合コン」「もやもやフェス」など、名称が気になるイベント案など、各グループから多彩なアイデアが頻出。TMIPではこれらのアイデアを参考に、イノベーションにつな
最後に、コーディネーターとして参加された方々からのご挨拶が行われました。
いかにカルチャーギャップを埋めて共感的なコミュニケーションを持って一緒にやれる人を作れるかがものすごく大事」とリバネスの環野 真理子氏。クロスフィールズの原科 佑哉氏は「行政や企業、NPOがパートナーとなりながら社会課題を解決する世界を作りたい」と自社の取り組みを語りました。ETICの高橋 健氏は「報酬をお金ではなく魚払いにしたGYO-SOMON!(ギョソモン)というサービスを始めたところ、かえって関わりやすいという声をいただいた」と新たな発見を報告しました。
プログラムの後は懇親会が行われ、めいめい気軽に交流を深めながらキックオフイベントは終了となりました。