第二部のディスカッション

東京大学が挑む未来を創るイノベーターの育成~スタートアップ創出から大企業連携まで

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【開催概要】
開催日時:2020/9/9 16:00 スタート
モデレーター:TomyK 鎌田氏
登壇者:東京大学産学協創推進本部 菅原氏
東京大学FoundX 馬田氏
東京大学エッジキャピタル(UTEC) 坂本氏
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC) 水本氏
株式会社estie 平井氏
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2020年9月9日(水)に、Zoomを使ったTMIPセミナー「東京大学が挑む未来を創るイノベーターの育成~スタートアップ創出から大企業連携まで」が開催されました。

本日のテーマ

本日のテーマ

 

最初にTMIP事務局チェアマンの後藤泰隆氏の挨拶からスタート。

TMIP事務局チェアマン後藤泰隆氏

TMIP事務局チェアマン後藤泰隆氏

 

後藤氏:日本のオープンイノベーションを考えるときに、東京大学と丸の内は切っても切り離せない最重要な要素です。両者が手を組むことが、将来の日本のイノベーションに多大なる影響があるだろうというところから、今回のセミナー企画が立ち上がりました。本日は、東大が取り組んでいることを包括的に理解することでいろんな取り組みの参考にしていただければと思っています。

 

続いて、東京大学産学協創推進本部の菅原岳人氏から、東京大学の取り組みである「スタートアップ支援エコステム」の概要について説明がありました。

東京大学産学協創推進本部・菅原岳人氏からの説明。

東京大学産学協創推進本部・菅原岳人氏からの説明。

 

菅原氏:産学協創推進本部ではスタートアップの支援プログラムが多数あり、大学単体だけでなく、関連企業や先輩起業家の方々にも多数ご協力いただき、創業支援や成長支援をしています。充実した起業支援やインキュベーション を提供することはもちろんですが、教育・人材育成にも長年力を入れているのも東大の特徴と言えます。アントレプレナー道場という在学生向けの講座だけでも、これまで累計4000人ほどが受講し、卒業生の100人ぐらいが起業家となりました。スタートアップの世界とはどのようなものなのか、なぜ世の中にスタートアップが必要なのか、キャリアとしてスタートアップ起業家とはどのようなものなのかといったことを学生の時点で基礎からレクチャーしています。

卒業後すぐに起業する学生はそれほど多くなく、我々もすぐの起業は推奨していませんが、様々なプログラムを受講した数千人のタネは世の中に放たれており、彼らの多くがこれからの5年10年でスタートアップの世界にやって来るだろうと捉えています。また、ビジネスの匂いがすると入りづらいというテクノロジーに興味の中心がある学生のための支援スペースもあり、ビジネスと技術プログラムを両輪に人材育成をしています。

 

続いて東京大学FoundXディレクターの馬田隆明氏が登壇、スタートアップ挑戦者を生み出す仕組みについて解説していただきました。

東京大学FoundXディレクターの馬田隆明氏

東京大学FoundXディレクターの馬田隆明氏

 

馬田氏:数年間企業に務めてから改めてスタートアップをやりたい、という東京大学の卒業生を支援し、挑戦者を増やしていくプログラムとして、2019年にFoundXが立ち上がりました。チームに一人以上東大卒業生や現役生、研究者を入れることで大学とのつながりを保たせ、個室やプログラムを最大9ヶ月間無償で提供しています。

挑戦者を増やすことを前提としているので、アイデアがない段階から、アイデアを見つけるということから支援しています。そのためリスクは極めて高く、実際ほとんど失敗する前提なのですが、こうした支援がなければ起業しなかった人たちにも興味を持って踏み出してもらうことを目的としています。

 

三人目の登壇者は東京大学エッジキャピタル(UTEC)の坂本教晃氏。

東京大学エッジキャピタル(UTEC)坂本教晃氏(右)。

東京大学エッジキャピタル(UTEC)坂本教晃氏(右)。

 

坂本氏:UTECは東京大学の名前が入っているとおり、東大との関係を軸としながら、民間に投資するベンチャーキャピタルとして運営している会社で、優れたサイエンステクノロジー、強力なチーム、グローバルな市場や課題の三つにテーマを絞って投資活動を行なっています。投資先は東大だけでなく基本的にどの大学でも対象となります。大学への寄付や、UTC SOCというコミュニティで投資先の引き合わせもしています。

私たちは、「テクノロジーは複数の大学や企業にまたがるもの」という仮説を元に、いろんな国の研究者や技術者を取り込みながら技術を発展させていくことに取り組んでいます。

 

プレゼンテーションの最後となるのは東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)の水本尚宏氏。

東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)の水本尚宏氏によるプレゼン

東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)の水本尚宏氏によるプレゼン

 

水本氏:弊社は東京大学の100%子会社となります。あえてベンチャーキャピタルと言わないのは、既存の枠組みにとらわれない投資をしていこうというコンセプトとなるためです。

立ち位置としては、民間のベンチャーキャピタルや大企業と連携しながら東京大学のベンチャーと取り組みをする組織とご理解いただければと思います。私たちは、新事業を立ち上げるためには、既存事業に最適化された組織のOSを変えていく必要があると考えています。完成されている企業さんほど、既存の事業にベストフィットしているので、新しいことをしようとしたら組織を変えていく必要があります。その方法としては、ベンチャーを使って新しいOSを外から取り入れることと、新しいOSを外に作ることの二つを提案したいと思っています。

 

以上で第一部のプレゼンは終了。第二部ではここまでのプレゼンター各氏に加え、起業の際に東大のエコシステムをフルに活用したという株式会社estieの平井瑛氏を加え、TMIPアドバイザーの鎌田富久氏がモデレーターを務めてのディスカッションが行われました。最初の話題は、ウィズコロナ時代にあってそれぞれの活動が制限されている中での状況について。

第二部のディスカッション

第二部のディスカッション

 

馬田氏:コロナの影響で、これから起業する人たちの数が減ってくると懸念されます。その代わり、数が少ない分、今のタイミングで起業すると目立てるというチャンスもあります。オンラインで何ができないのかが見えてきて、オフラインの大切さが改めて見えてきました。

馬田氏

馬田氏

 

この発言を受け、鎌田氏は「一回も会ったことのないベンチャーにオンラインだけで投資できるのか」という疑問を投げかけられました。

坂本氏からの「全く会わずに投資ということはやったことがありませんし、人柄などを知るために一度は会っておきたいですね」という発言を筆頭に、他の参加者も皆、オンラインではなく直接会って判断したいという回答がほとんど。投資される側の平井氏からも、「Zoomだけで面談している相手から投資を受け入れるのも不安」という声が上がりました。

平井氏

平井氏

 

続いてはここ数年、東大からスタートアップが増えていることについて、それぞれが感じているその理由を質問。

馬田氏:スタートアップ業界に関わる人の数が増えたことで、周囲に起業家がいる人も増え、彼らがその影響を受けて自分も起業に興味を持つことも増える、という循環になっているんだと思います。

坂本氏

坂本氏

 

この発言を受け、坂本氏からは「かつては東大で最も優秀な人材は官僚や行員になるのが主流でしたが、徐々に陰りが出てきた」、水本氏は「官僚よりベンチャー人気が高まった背景には、経済的に成功する若い起業家が増えたのも大きい」との実感も。2014年に大学を卒業したばかりの平井氏はここ数年でも変化はあると言い、自身が学生の頃はそれでもまだ大企業を目指すのが主流だったが、同世代の人々が社会人経験を経た上でスタートアップの世界へやってくるパターンも増えていると証言しました。また、菅原氏からも「10年前に比べて経済学部などの学生も増えていますが、最後まで課題もやりきっていて、キャリアの選択肢の一つとしてスタートアップが認識されているという印象です」と話しました。

 

東大の先生への要望は? という質問には、菅原氏から次のような意見も。

菅原氏:若い先生の間では、他の先生のスタートアップへの協力的な姿を見て自分も考える方が増えています。ただ、研究費そのものが細ってしまうと、チャレンジングなことを続けづらくなるので、先生への要望というより、組織として予算をちゃんと確保していくことが必要と考えられます。

水本氏

水本氏

 

また、テック系スタートアップを増やしていくことの困難さや、研究者と経営者双方を揃える必要性、事業と同時に研究を続けることの重要性、東大発スタートアップの増やし方、大企業とスタートアップの共創による大きな成功モデルなども話題にのぼり、各者各様の意見が飛び交い、東大発ベンチャーの多様な可能性を感じさせながら本日のTMIPセミナーは終了となりました。

盛り上がりつつ終了

盛り上がりつつ終了

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