【TMIPワーキング】ウェルビーイング

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開催日時:2020/9/4 15:30 スタート
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2020年9月4日に、オンラインにてTMIPワーキングが開催されました。今回のテーマは「ウェルビーイング」。
まずは、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社の伊東真史氏から、テーマの概観について解説をしていただきました。

ウェルビーイングとは何か

伊東氏:少子高齢化や人口減少、医療介護費の増大や経済成長の停滞といった課題を解決するために、医療・介護の担い手や労働生産人口を増やす必要があります。そのためにいかにして皆が長く健康にいられるのかという観点で現在、「ウェルビーイング」が注目されています。

従来の健康分野は病院や製薬会社、医療機器を作るヘルスケア関連企業の関わりが中心でしたが、「ウェルビーイング」はそれらにとどまらない多様な業界・企業との関わりも含んでいます。例えばエンタメ企業やeスポーツ、健康増進型コンテンツなどが好例です。

こういった背景を踏まえ、様々なビジネスチャンスについての議論が現在、活発に行われています。ウェルビーイングは日本の社会課題を俯瞰するテーマであることは疑いがなく、これまで異業種だった企業間での大きなビジネスチャンスがあるといえるでしょう。

続いてTMIPとして取り組みたい「ウェルビーイング」の課題について、TMIP事務局の上野氏から説明がありました。

TMIPとして取り組みたい「ウェルビーイング」の課題

上野氏:新型コロナウイルスの影響によって、暮らし方や世の中が大きく変化すると言われています。

企業に関連する変化でいえば、従来のオフィスでは三密状態を回避できないため、リモートワークが広がっています。しかしこれによってコミュニケーションや連携がしづらくなり、従業員間の関係性の希薄化や孤独といった問題が生じ、さらに心身の健康問題が顕在化しています。

また、高齢化が進む中で社会保障費は増大し、働く世代が親の介護をしなければならないケースも増えています。こうしたことからも「ウェルビーイング」が大きな課題であることが見て取れます。こうした様々な課題は密接に関係しており、個別に対応するのではなく、複合的なアプローチが有効と考えられます。

続けて、こうした課題に対してTMIP会員企業の取り組み事例が2例紹介されました。まずはソフトバンク株式会社/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社の大石怜史氏が登壇。

大石怜史氏の資料

大石氏:現在のコロナ禍において、医療従事者の過重労働や医療費の増大などの解決に、私たちソフトバンクがどのように寄与できるのかに焦点を当てて新たな事業を展開しています。

その中で、私たち自身はヘルスケアにおけるプラットフォーマーとしての立ち位置を構築していきたいと考えています。こうした共創体制で、スマホ用アプリの『HELPO』をリリースしました。これはアプリ上で24時間オンライン健康相談が受けられ、病院検索や、市販薬で対応できるならその注文と配達まで可能としたものです。このようなサービスはソフトバンク一社での実現は難しいので、今後も皆様とご一緒させていただき議論しながら展開していきたいと思っています。

続いて、三菱地所のエリアマネジメント企画部の田口氏から、大丸有エリアの街作りの観点を取り入れた健康促進アプリ「丸の内ヘルスカンパニー」が紹介されました。

丸の内ヘルスカンパニー資料

田口氏:健康問題は今後外せないテーマとなっていきますが、単に健康になりましょうというところから始めてしまうと、健康に興味がない方は参加していただけません。

そこでこのアプリでは、誰もが平社員からスタートして、様々なコンテンツに取り組んでいくとアプリ内で役職が上がる、と同時に実際に健康になっていく、というものとなります。アクティブ率も高く、多くのユーザーさんに楽しんでいただけています。

また、丸の内ワークカルチャーラボというプロジェクトも立ち上げ、コロナ禍での在宅勤務や各種ツール利用などで得られた学びを今後も根付かせていくことを検討しています。

第一部は以上。第二部はグループに別れてのディスカッションが行われました。各グループのテーマは、

A)遠隔で家族をケアする生活支援・介護予防ソリューション
B)イノベーションを創出するコラボレーティブオフィスソリューション
C)健康データ活用によるペイシェントジャーニーを通じた従業員健康管理ソリューション

以上の3つとなり、ABは各1グループ、Cのみ2グループの計4グループ。約1時間のディスカッションを経て、再び全員集合した上で、各グループの内容が報告、共有されました。

ディスカッションのグループ分け

Aグループ:生活支援を受けるシニアの方々と介護をする方々がリモートになっている場合、そこをつなぐインターフェースがあると良い。

Bグループ:オフィスのようなリアルな場の最大のメリットは、関心の有無にかかわらず何らかの影響を受けること。しかし実際にどのようなものを得られているのかの検証はできていないので、TMIPでその仕掛けを作れたら面白いのではないか。

C1グループ:先ほどのアプリ『丸の内ヘルスカンパニー』のように、意識の高いユーザーのデータや、オフィスだけでなくエリア単位で実証実験を行えればより広い取り組みが期待できる。

C2グループ:現在は健康データのフォーマットがバラバラなので、それを揃える必要がある。また、これらと企業が持っている人事データもつなぎ合わせた方がより効果的だが、センシティブなデータでもあるので、提供してもらうにはそれに応じたメリットを示す必要がある。

最後に本日の内容を受けて、各社連携しての議論を進めることを期待したいという事務局からのコメントと、今後の予定がアナウンスされ、「TMIPワーキング:ウェルビーイング」は終了となりました。

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