「両利きの経営 ~言うは易し、行うは難し」Powered by 株式会社Scale Out

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時間: 2020年7月15日 15:30スタート
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2020年7月15日(水)、TMIPパートナーである株式会社Scale Outご協力による『TMIPセミナー「両利きの経営 … 言うは易し、行うは難し」〜』がオンライン開催されました。今回は株式会社レッドジャーニー代表の市谷 聡啓氏による講演と、それを踏まえての参加者同士によるディスカッションが行われました。

株式会社Scale Out 山形氏

本日のファシリテーターを務める株式会社Scale Outの山形 啓二郎氏と飯野 将人氏の挨拶に続いて、早速市谷氏が登壇、「正しいものを正しくつくるチームづくり」と題し、社内での新規事業立ち上げにおける問題点についての講演がスタートしました。

株式会社レッドジャーニー代表市谷 聡啓氏

市谷氏:事業が失敗してしまうケースというのはいくつかのパターンに分類できます。プロジェクトを始めるにあたって、最初は選択の幅を広く持っていた方がいいのですが、幅広いままだと新たなアイデアが出たときに絞りきれず、違う方向へ進んでしまうことがある。

また、逆のパターンでは、最初から選択の幅を絞り込みすぎていることもあり、こちらもまた良いアイデアが出てくる余地がなくなってしまいます。そこで、事業開発においては、絞り込みを織り込んだプロセス作りが重要となります。つまり、最初はアイデアの幅を広げておいて、段階ごとに仮説検証をしながら、選択肢やアイデアを取り入れる幅を絞り込んでいく、ということです。

失敗パターン例の紹介

しかし、市谷氏は新規事業開発の現場において、それだけでは乗り越えられない分断にも直面すると指摘。

市谷氏:組織内の上層部や経営部、および現場の分断している「垂直上の分断」と、既存の事業を行う部署と新規事業を行う部署が分断している「水平上の分断」がある。

これは先ほどの仮説検証の繰り返しでは乗り越えられません。そこで、分断した双方を繋いでいく、越境するチームが必要となります。そのチームに必要なのは事業の中身を把握できる専門性の高い人なのですが、同時にさまざまな利害も考慮して、外部から顧問的に招き入れて内外の人材で構成するべきでしょう。また、分断しかねないそれぞれの立場双方の共通言語を作る、これが越境するチームやるべき仕事と考えます。

新規事業開発には二種類の分断が生じる

市谷氏はこうした現場を支援している自らの活動を踏まえ、具体例や図解を交えて丁寧に解説されました。

続いて山形氏が前回の第一回セミナー「これをやると確実に失敗する社内新規事業の進め方」に参加できなかった方たちのため、その内容を簡単に振り返った後、前半は終了しました。

10分間の休憩ののち、参加者が数名ごとのグループに分かれ、今回の講演内容を踏まえてのグループセッション。15分程度の話し合いを終え、再び集合し、それぞれのグループで出た話題が共有されました。

TMIPの参加企業は多数に及ぶため、「新規事業制度がそもそも弊社にはなく、それが必要と考える危機感自体を会社全体としてどう持ってもらうかが課題」という声、「社内に一年に一度のアイデア公募制度はあるが、コロナの時代ではよりスパンを短くすべきかもしれない」という提言、「ハッカソンのように短期集中でモックを作ってみるイベントを模索中」という企業もあり、いずれも新規事業立ち上げの重要性を認めつつ、試行錯誤中であることが伺えました。

また、続く質疑応答では、新規事業を立ち上げる際に部署を社内で「出島」的に切り離しておいた方がいいのかどうか、ということについて活発な議論が繰り広げられました。これについては、基本的には切り離しておかないと従来の事業と掛け持ちになり、新規事業が立ちいかなくなるケースがほとんどという声が多く、軌道に乗ったら子会社化という思い切った手法も紹介されました。

今後もTMIPイベントは随時企画開催されることが予告され、本日のイベントは終了となりました。

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