【TMIPワーキング】サーキュラーエコノミー『Day2:廃プラスチック』

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開催日時 2020/6/5 15:30スタート。
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2020年6月5日(金)に、TMIPワーキング『サーキュラーエコノミー』が開催されました。
議題テーマは「廃プラスチック」。開会に先立ち、TMIP事務局の檀野 正博氏から、今回の目的や課題の外観の説明がありました。

檀野氏:本日は都市に行ける廃プラスチックの削減とアップサイクルビジネス実現についてみなさまとディスカッションしていきたいと思っています。

現在、国内外で廃プラスチックの削減は大きな社会課題として注目されています。しかし世界中でプラスチックの生産量は増え続けていて、特に海への放出については課題であり、2050年までには海中に存在する海洋プラスチックが魚の量をしのぐ可能性もあるという試算も出ています。

とはいえ、プラスチックは軽くて丈夫であり、安価で利便性も高い素材です。特に現在の新型コロナウイルスが蔓延する環境下ではフェイスガードなどにもプラスチックは使用されておりますので、その他の社会課題やコストとのトレードオフでいかにバランスよく使っていくかが重要となります。

ソリューションの方向性としては、リデュースとともに代替素材を作ってくこと、繰り返し使うリユース、不純物が混入しないようユーザーの行動変容も促すことを視野に入れたリサイクルの三つが考えられます。

檀野氏によるグローバルな先進事例がいくつか紹介されたのに続き、具体的に取り組みをしているプレイヤーとして、テラサイクルのエリック・カワバタ氏が登場しました。

テラサイクルのエリック・カワバタ氏による解説
カワバタ氏:テラサイクルでは「捨てるという概念を捨てる」をミッションに事業を行っています。
経済合理性の問題により、原料価値が低いものはなかなかリサイクルされていないのが現状ですが、テラサイクルではそうしたものを経済合理性がなくてもまずは加工を実現していくことで、現在は世界中で200社以上の主要な業界の企業様とパートナーシップを締結しています。
家庭や学校、オフィスや小売店から回収したものを原料に、家具、遊具やプランターなどさまざまなものを新たに作り出してお見せすることで、回収協力者のモチベーションも高まるようにしています。
とはいえ、使い捨てはやはり安くて便利ですから、そうした文化から抜け出すには、なんらかのメリットを与えていく必要があります。そこで現在はLoopというリユースショッピングプラットフォームの立ち上げをしています。
例えばステンレスはプラスチックより高額ですが、ステンレス容器であれば百回程使えて減価償却したらプラスチックより安くなりますし、その分デザイン性や機能性も提供することが可能となります。テラサイクルでは将来的に容器ゴミがなくなるよう、今後もリサイクルやリユースに取り組んでいきます。

続いては、住友商事の片岡佑介氏から、ノルウェーの企業と共同で設立した飲料容器回収機(RVM)を使ったリサイクル事業を行うトムラ・ジャパン株式会社の事例紹介が行われました。

片岡氏:EUでは2030年までに容器回収率を90%以上にしようという目標を掲げています。

しかし、人の手で選別等を行うのは物理的に無理があります。そこで主にヨーロッパやアメリカ、オーストラリアでRVMの導入が進められています。

使い方は簡単で、消費者さん自身が飲み終えたペットボトルの残渣やラベル、キャップを取り外してRMVの窓口に入れると、内部で自動的に分別するというシステムになっています。

ただ、使ってくださいねというだけでは難しいので、ポイントやクーポンなどのインセンティブも導入することが可能です。このように我々はリサイクル材を作るのではなく、回収したものをリサイクラーさんに届けるのが事業となっています。そこでプリフォームされたものを店舗へ返すというループを、今後は日本国内でも作っていく予定です。

続いて、環境省の泉 知行氏がプラスチック資源循環における取り組みについてお話しされました。

泉氏:プラスチックは現在、世界中で年間3億トンが生産されており、現在の新型コロナの状況下でその有用性が改めて確認されています。

しかし一方で課題も多数抱えており、海に流れ出しているプラスチックゴミは全世界で年間800万トンという試算があり、生態系にも大きな影響を与えかねません。

こうした課題を解決するためには、リサイクルやリユースをどんどん太くしていかなければいけません。同時に海へ流れていくものを減らし、素材も石油からバイオへと変えていく。そうすることで便利なプラスチックを将来にわたって使っているのではないかというのが、産業界で共有している認識となります。

そのため環境省ではリサイクル設備に対する補助金や、その前段階となる実証実験のための予算を用意しておりますので、数十万人の会員からなるTMIPさんとも連携していければと考えています。

最後に三菱地所の長井 頼寛氏から、大丸有でのSDGsやサーキュラーエコノミーへの取り組みについて紹介がありました。

長井氏:大丸有エリアに拠点を置く企業や飲食店、まちづくり団体などが連携して、さまざまなテーマに取り組みサステナブルな社会を目指すため、5月から11月にかけて「大丸有SDGs ACT5」という、具体的なアクションに落とし込むプロジェクトをスタートさせています。

町をあげて取り組むことで、町の力を地球の力にしていければと考えており、11月中旬までの状況を見て成果発表を行う予定です。

現在もさまざまな実証実験などが進行中ですが、TMIPに参加されている方々とも、ディスカッションを通じてさらに新しいアクションを起こしていければと願っています。

前半の取り組み紹介は以上となり、一旦休憩を挟んでから数名ずつのグループでテーマごとに新たなアイデアを出し合うディスカッションが行われました。討議のテーマは下記の3つ。

A)新素材製品のリサイクルループ構築
B)リユーザブル弁当容器プラットフォーム
C)PETボトル回収オフィスエコシステム

このうちAとCが2チーム、Bが1チームの計5グループ。約50分の話し合いの後、再び全体会議に戻って各グループからディスカッション内容の発表が行われました。

A1:安いけどリサイクルが難しい素材と、高いけどリサイクルを実現できる素材でコストメリットをどうしていくかということを軸に議論をしました。

例えば、今、新素材の紙コップが注目されているので、そこに広告を貼り付けてコストを相殺できるのではないかといったアイデアや、消費者にプレミアム感を持ってもらうためにあえて高い製品を提供するといった案もありました。

A2:良い仕組みを取り入れても使ってもらわなければ意味がないので、そこをどう乗り越えるのかが課題になるという話が出ました。

例えば、ゴミとして捨てられない、わかりやすいデザインにしてみるとかですね。また、カップがマスクにトランスフォームするなど、別の用途にも使えることでコストを下げる方法もあるのではないかというアイデアもあり、どうすればみなさんに使ってもらえるかという話題が中心となりました。

B:デザインのかっこよさ、言い方は良くないですが、見せびらかしたい、エシカル意識が高い商品を使っているんだと周囲から見えることは重要じゃないかという話になりました。

また、リユーザブルな弁当容器を多く使っているエリアやビルはどこかということが見える、競争できるようなゲーミフィケーションの要素を取り入れるのも面白いのではないか、こうした要素でユーザーの行動変容を促せるのではないかという意見もありました。

C1:大丸有は意識の高い人たちが集まっているので、企業やトップの発信力で行動変容を促していくことができるのではないかと。

実際、飲料メーカーさんでは分別して捨てる行動が完全にできているといいますし。また、ペットボトルが悪いというイメージがありますが、それよりもトータルにCO2排出量自体にアプローチすることが大事という意見もありました。

また、各種の実証実験では誰がコストを負担するかという問題がありますが、デジタルサイネージなどによって広告で費用をカバーするという案も出ています。

C2:ペットボトルのリサイクルを進めるには回収品質と運搬が鍵になると考えられます。大丸有の人々はモラルが高いので、個人向けインセンティブよりも、むしろ会社やエリアを巻き込んでやったほうが効果があるのではないかという意見から、例えばビルごとに回収するゴミの管理状況を見える化して、各ビルに対してインセンティブを与えることで回収状況を底上げできるのでは、というアイデアもありました。

また、本気でやっていくなら大丸有内にリサイクル工場を作り、ペットボトルを集めて固めて潰して、までやるべきだという意見も登場しました。
より良い意見は共有して今後も話し合いを進め、プロジェクト化を目指すことがアナウンスされるとともに、6月15日にはスピンアウト系の新事業提案制度イベントをセミナー形式で行うこともお知らせされ、この日のサーキュラーエコノミーは終了となりました。

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